山梨県の奥深い山村には、恐ろしい都市伝説が伝えられています。
「燃える富士山」という物語です。
物語は、かつて大名が支配していた時代までさかのぼります。
その地域を支配していた大名は残忍で横暴な性格で、民衆を苦しめることを楽しんでいました。
ある日、大名は村に住む一人の美しい娘の評判を耳にしました。
自己中心的でわがままな大名は、この村に伝わる美しさを持つ娘に興味を抱きました。
彼は彼女に一目会いたいと思い、彼女を城に招くことにしました。
しかし、その娘には許嫁がいました。
彼女は幼い頃から共に過ごした村の若者でした。
村の人々は、二人が結ばれることを願っていました。
娘が城に行く話を白紙に戻してほしいと熱心に懇願しましたが、願いはかないませんでした。
とうとう明日、娘が旅立つという夜、娘と許嫁は家族とともに命を絶ちました。
小さな家に立てこもり、火をつけたのです。
燃え盛る炎の中からは、恐ろしい呪詛の声が聞こえてきたと伝えられています。
その声は魂を震わせ、村人に恐怖を植えつけました。
しかしこの物語は単なる悲劇では終わらない。
娘と許嫁がかけた呪いは、大名にまで届きました。
彼女たちが命を絶った後、大名は突然病に倒れました。
そして、天守閣から見える富士山を眺めながら、大名は次のようにうなされました。
「富士山が、赤く燃えている!」
大名の家臣たちは混乱しました。
当然、富士山が燃えているはずはありません。
しかし、大名は繰り返し叫びました。
「富士山が、燃えている!」
三日三晩苦しんだ末、大名は息を引き取りました。
この怖い伝承は、大名の横暴さがもたらした教訓として、その地方に引き継がれています。
人々は「赤い富士山」の物語を通じて、権力の乱用と傲慢さがどれほど恐ろしい結末を招くのかを語り継ぎます。
今もなお、その地方では大名の呪いとして語り継がれ、富士山が血塗られる悪夢が再び訪れるのではないかという不気味な予感が漂っています。